
MIwa Hamada
子供が本当に求めているもの
鷲田清一 『大事なものは見えにくい』より
*「読み聞かせ」について
「一人で寝付く時、枕元で母親が本を読んでくれるとする。その時、淀みない朗読に果たして心は解かれるだろうか。字を読み間違えてもいい。劇的な抑揚はなくてもいい。途中で居眠りして中断してもいい。それよりも、読みなれない本を、無理して、眠たいのを我慢して、自分のために読んでくれている、そういう場面に自分がいられることが心底嬉しいのではないか。声が紛れもなく、自分に向けられているということが。」
「<私>を気遣う声、<私>に思いを馳せる眼差し。それに触れることで、私は<私>でいられる。気遣い合うこと、それは関心を持ち合うことである。ちなみに関心(interest)
の語源は(inter-esse)、「共にある」「相互に存在する」というラテン語のフレーズである。
子どもに限らない。自分を大事に思ってくれる人がいることの素晴らしさ。ありがたさ。
親が亡くなったとき、電話をくれた遠方の友人。手紙をくださった先生。
今年も変わらず年賀状をくれた古い友人。
その人たちがいてくれるから強く生きていける。
それなのに、
自分は一体、その人を大切にしているだろうか。